最近、中国のフリマアプリ「閑魚(Xianyu)」をチェックしていた際、珍しいグラフィックボード「Tesla T10」を偶然見つけました。このデータセンター向けGPUは、もともとNVIDIAがクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」のサーバー用に設計した製品です。現在、これらの払い下げられたカードが中古市場に出回っており、閑魚では現在約1350人民元(約190ドル)で販売されています。安価だったため、性能を検証すべく2枚購入しました。
目次
ハードウェア仕様とパフォーマンス
- 16GB GDDR6 メモリ
- 150W TDP 設計
- 1スロット・フルハイト設計
- 純正パッシブ冷却設計
- PCIe 3.0 x16 インターフェース
- TU102 チップ
- ベースクロック:1065 MHz
- 最大ブーストクロック:1590 MHz
- メモリクロック:1575 MHz
- メモリバス幅:256-bit
- ビデオメモリ:16GB GDDR6
ベンチマークテスト
テスト環境
テスト環境はすべて仮想マシン(VM)です。
Linux:
- Ubuntu 24.04 カーネル 6.8.0-51-generic
- Nvidia ドライバー: 550.127.08
- CUDA バージョン: 12.4
- CPU: Epyc 7413 16コア vCPU
- RAM: 16GiB DDR4 3200 MHz ECC REG
Windows:
- Windows 11 24H2 OS ビルド 26100.2894
- Nvidia ドライバー: 560.81 (AWS Cloud Gaming ドライバー)
- CPU: Epyc 7413 16コア vCPU
- RAM: 16GiB DDR4 3200 MHz ECC REG
ゲーム性能
3DMark Time Spy GPUスコア:10092

3DMark Steel Nomad スコア:2338

パフォーマンスはRTX 2070 SuperやRTX 4060にほぼ匹敵します。
AI演算性能
使用 Llama 3 8B モデルを使用し、llama-benchでテスト:
Q4_K 量子化バージョン(4.58 GiB)
| テストシナリオ | 生成速度 (トークン/秒) |
|---|---|
| 512トークン | 62.10 |
| 1024 トークン | 60.41 |
| 4096 トークン | 52.43 |
| 8192 トークン | 41.46 |
F16 フル精度バージョン(14.96 GiB)
| テストシナリオ | 生成速度 (トークン/秒) |
|---|---|
| 512トークン | 24.10 |
| 1024 トークン | 23.85 |
| 4096 トークン | 22.53 |
8192トークンはメモリ不足のためテストできませんでした。
消費電力・冷却・温度性能
グラフィックボードの最大消費電力は150Wで、アイドル時(P8状態)の消費電力は約18W前後です。
完全パッシブ冷却方式のため、温度を抑えるには筐体内に十分な風量を確保する必要があります。
筆者はこのグラフィックボードをDell PowerEdge R7515サーバーに搭載して使用しており、フルロード時にファン速度をPWM約89%に設定することで、グラフィックボードの温度を82〜83℃に維持できています。
使用体験
現在は2枚のT10をそれぞれDell PowerEdge R7515に搭載しており、1枚はWindows環境でリモートゲーミングマシンとして、もう1枚はLinux環境でKubernetesのGPU演算ノードとして使用しています。
実際の使用においては、軽・中程度のゲームの実行やphi-4などのAIモデルの動作も非常にスムーズです。しかし、最大の問題は冷却制御にあります。Dellサーバーのサードパーティ製PCIeカード用LFM(Linear Feet per Minute)モードをオフにすると、GPU温度が容易に86°Cに達してサーマルスロットリングが発生しますが、その際もシステムファンは低回転のままです。一方、LFMモードをオンにすると、ファンが89% PWMの回転数を維持し続け、システム全体の消費電力が約100W増加してしまいます。これは電気代の高いコロケーション環境では理想的ではありません。現在の解決策は、必要な時だけ手動でファン回転数を調整することです。
1350人民元(約190ドル)という価格を考えると、このグラフィックボードのコストパフォーマンスは非常に高く、興味のあるプレイヤーは購入を検討してみる価値があります。
メリット
- Nvidia vGPU サポート
- 16GB 大容量ビデオメモリ、ECC サポート
- シングルスロット設計で省スペース
- 優れたAI演算性能
デメリット
- 追加の冷却ソリューションが必要
- 高い温度管理要件
- 消費電力制限によるチップ性能の制約
- 映像出力端子なし
結論
Tesla T10は、サーバーグレードのハードウェアがコンシューマー市場で「第二の人生」を歩む姿を完璧に体現しています。冷却の制限を克服でき、強力な演算能力やVDIソリューションを必要とするユーザーにとって、これは非常に魅力的な選択肢です。特に、基本的なハードウェア知識を持ち、最適化に時間をかけることを厭わないユーザーにお勧めします。
購入アドバイス
おすすめ:
- 予算の限られたAIユーザー
- 大容量ビデオメモリを必要とするプロフェッショナルユーザー
- VDIアクセラレーションソリューションを必要とするユーザー
不向き:
- 一般消費者
- プラグアンドプレイの利便性を求めるユーザー

